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「弁護士のくず」　小学館ビックコミックス
　作　井浦秀夫　（監修　弁護士　小林茂和） 　
第６巻　「子供たちの生贄」より

依頼人　備田(中学校教師)「暴力じゃない！愛のムチだ！」

弁護士(武田真実)「たしかに、教師には懲罰権があって、
　　　教育のために一定の懲罰を与えることも認められています。
　　　でも体罰は許されていないんですよ・・・」

備田「生徒はそこに、つけ込むんだっ！！
　　　『手を出したら、クビだぞ』とせせら笑っているんだ！
　　　ふざけやがって。そんな脅しに負けてたまるかっ！」

真実「・・・バカにされて、カッとなって殴ったんですか！？
　　　カッとして殴ったんなら・・・
　　　『愛のムチ』って言えないじゃないですか！？」

備田「俺はカッとなんてしてない」

真実「カッとしやすいんですね。・・・」

弁護士(九頭元人)「大きな声出したって、こわくないんだから」

真実「あなたは生徒をドロボー扱いして、殴ったそうですね？
　　　これは大問題だと思いますよ・・・」

備田「大ゲサな！一発ひっぱたいただけだ！
　　　ヤツがあくまでもシラを切るから」

真実「その生徒は自殺未遂をしたというじゃありませんか！？」

備田「そ、そ、そんなこと、ウソに決まっている！！
　　　あいつはそんなタマじゃない！！」

真実「その子はクラス委員で優等生なんでしょ？
　　　叱られ慣れてない子なら、ショックで自殺したくなっても
　　　不思議じゃないわ。これは教師によるイジメですよ！」

備田「全然違うっ！何言ってんだ、あんた！
　　　弁護士は味方になってくれるんじゃないのかっ？」

九頭「あんたは学校生活指導を担当してて、
　　　ビンタくらい日常だったかもしれないけど、
　　　学校に新聞記者が取材に来ちゃったんでしょ？
　　　マスコミがかぎつけたのに、まだ『愛のムチ』とか言って
　　　開き直っている教師がいたんじゃ、校長も生きた心地がしないよな。
　　　大騒ぎになる前に自主的に辞めてあげれば
　　　彼もさぞかし助かるだろうに・・・
　　　どっちにしろ、マスコミに騒ぎたてられたら、
　　　冷静な話し合いなんてできないよ。
　　　結局、辞めざるをえなくなる。」

備田「・・・・・・・・・」

九頭「暴力教師として、クビになったんじゃ、
　　　再就職もキビシイと思うよ〜〜〜
　　　今のうちに、生徒に土下座とかしちゃったら？
　　　慰謝料でも出して・・・
　　　今なら、こっちのやりようで、軽い処分ですむかもしれない。」

備田「・・・・・・・・・ 　　　それは、できない。
　　　もし俺が、手を引いてしまったら、
　　　本当にイジメられている石下はどうなるんだ。
　　　石下は、クラスの女子のリップクリームを盗んだという
　　　濡れ衣を着せられているんだ。
　　　俺が殴った白花こそが、真犯人なんだ。」

その後、お話は、この弁護士二人組が、白花の悪行を調査していきます。

後日、中学校校長室にて・・・

真実「備田先生が悪いんじゃありません！
　　　一番悪いのは、石下クンをイジメている白花クン達なんです！
　　　備田先生を辞めさせちゃいけません！
　　　確かに体罰はよくないけれど、
　　　備田先生はイジメられている石下クンを助けようとしたんです。」

校長「あなたは備田先生の言い分を鵜呑みにしているだけじゃないんですか？
　　　いいですか？備田先生は白花クンを何の根拠もなく、
　　　盗みをしたと決めつけて、体罰を与えたんですよ！
　　　そのせいで白花クンは自殺未遂事件を起こしたんですよ。」

真実「だから、それは、白花クンの自作自演かもしれないんです。
　　　備田先生も白花クンが自殺なんかするはずないって・・・」

校長「それは、備田先生が言っているだけでしょう？
　　　母親が抗議してきてるんですよ。
　　　白花クンは薬を大量に買い込んで飲んだらしい。
　　　『おたくの息子さんは狂言自殺ですよ』って言うんですか？
　　　白花クンは２日ほど欠席したんで・・・
　　　とりあえず風邪ということにしたんですが・・・
　　　あ〜しかし、一部のマスコミがかぎつけたみたいなんだよな〜
　　　ここで火を消さないとタイヘンだよ。
　　　あいつら（マスコミ）、最初から学校を悪者と決めつけているから、
　　　人の話なんか聞きやしない。あいつらこそ、イジメじゃないか！」

真実「・・・・・」

校長「とにかく、母親が『謝罪しなければ訴える」と言っているんです。
　　　だから、備田先生には、とにかく謝罪しなさいと言っているんですよ。
　　　それなのに言うことを聞かないで、
　　　あろうことか、こんな弁護士に頼んじゃって」

真実「・・・・・」

校長「私だって、備田先生のことを思って言っているんですよ。
　　　だから、備田先生にはとりあえず休養してもらうことにしたんです。
　　　教育委員会には、しばらく、報告しないでおきます。」

真実「結局は、自己保身じゃないですかっ！
　　　子供がイジメにあっているんですよ？
　　　グズグズ、そんな子としている場合じゃないでしょう！！」

校長「御簾越先生（石下の担任）、イジメあるの？」

御簾越「子供ですから、イタズラや悪ふざけくらい、
　　　そりゃありますけれど・・・昔からあるでしょ？」

校長「イジメ、イジメって大ゲサに騒ぎすぎるんだよね・・・」

真実「無責任に放置している間に、取り返しがつかなくなったら、
　　　どうするんですか？」

御簾越「イジメがあれば、そりゃよくないって注意してますよ。
　　　でも、実際には、イジメられる生徒にも問題がある場合が・・・」

真実「！！、先生がそんな考え方だから、イジメがはびこるんですよっ」

〜引用終了〜

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